だし巻きナポリタン  

だし巻きナポリタン

欧州行きの打ち合わせとビザ確認などで思いのほか時間を食ってしまいます。
まぁ、旅の楽しさは準備を含めた総合的なものですから仕方ありません。下準備が面倒で手間がかかるほど本番の喜びが大きくなるってもんです。

なにもかも「ラクチン」「便利」に拠っていれば、味わいも半減するでしょうからね。

今回呼んで頂いたのは北欧のある国の関係機関ですが、用件が寿司にしろ和食にしろ、声が掛かれば喜んで何処にでも参上します。

それ自体の日程は2日ほどですが、少し寄り道をすることにしました。

日本はこれから蒸し暑くなりそうですから、できれば夏の間中涼しい大陸の北側に居たいもんですけども、残念ながらそのような「セレブ」をしている身分ではありません。急ぎ足で戻ってこなきゃいけないのはツライところです。

最後に訪ねた某国大使館のハンサム青年が非常に流暢な日本語を喋ることに驚き、色々と楽しい話などをしてくれましたので気分が良くなります。
「う~ん、良い国だな。好感度アップ!」とか言いつつ店に戻ったのは夕刻。

「ただいま」
ちょうど賄いを回している最中のようで、若い連中が美味そうに何かを食べてるところでした。


「なんかさ、いつでもメシ食ってるよね」
「おいらが顔だすと必ずメシの最中だし」
「朝から晩までメシ食ってんの君たち?」

若い衆 「そんな馬鹿な(笑)
「親父さんがメシの時に顔出されるから・・」


「あ、そ (笑)」
「ところで今日はナポリタンかい」
「子供みたいに口赤くしちゃって、まあ(笑)」

若い衆
「はい!」
「野菜とかたっぷり使えるし手早くできますし」
「ケチャップがどんな食材にも合うので・・」
「ナポリタンって今ブームなんすよ」

何が「ブーム」なんだか分かりませんが、ガキンチョのようなツラをして食べてるのを見ると、「ぴったり合う」んでしょうな。

昭和からず~っと「ブーム」の料理でして、それほど日本人の口に合うんでしょう。

 

ナポリタンとはいってもアメ公のケチャップを使用したパスタなどナポリにはありませんので、典型的な「和洋食」 実際のところ和食の一つと言っていいでしょうね。

ナポリタンの発祥は横浜山下町のホテルニューグランドだという説が一般的で、ここはGHQが使っていたホテル。GHQが残していった食材から料理長が工夫して創作したものだと云われます。

創作のミソは、アルデンテに馴染みのなかった当時の日本人に合うようにした「ウドンのような歯ごたえ」と、アメリカを象徴するケチャップを主調味料にしたこと。

これがドンピシャリだったのでしょう。
おいらたちが子供の頃から、ハンバーグやカレーと同じく馴染みの深い料理で、お子様ランチには必ずというくらい付いてくる国民食みたいなもの。



「おまえさん達も一応料理人なんだし、毎回『そのままんま』ってのは少しいただけないね」
「たまには工夫したナポリタン作ってみたらどうだい」
「どんなものが思いつくか言ってごらん」

若い衆
「ご飯と一緒に食うやつもいるけど・・・」
「歯ごたえないから料理としては無理ですね」

「パンとは相性いいけど和食じゃないし」

「汁物は無理だし」

「コロッケは良さそうだけど・・・」
「なんかイヤ(笑)」

「ライスペーパーで包んで揚げ餃子」
「おいしくなさそう(笑)」

「カレーやハンバークと合体は?」
「和食から離れるからダメか」

「湯葉で巻いてシンジョで包む」
「それに串を打って焼く」
「べつに食べたくないし(笑)」


「やかましいってんだ。おまえらは」
「なんで卵が出ねぇんだ。ボンクラか」

若い衆
「スンマセン」
「そうでした。卵となら決まる」

「ナポリタン小田巻き!」
「ケチャ色のチーズ餡をかける」
「なんか美味そう」

「アホか。超キモイよ、茶蒸しなんて」
「ナポじゃないパスタならいいかもね」

「ナポリタンけんちんは?」
「赤く固めて卵黄ソース」

「すしのシャリにしましょう!」
「いや、ネタかな」

「どっちなんだよ(笑)」

「オムレツの具にしたヤツは美味いですよね」
「あれを和風に作れないかな」

「問題は半熟加減だな」
「卵固めない方が絶対美味い」

「びしょ玉と混ぜて錦糸で巻く」
「上から練り粉で包み、天ぷら!」
「ケチャタレで食べる」

「鶏と筑前にしたらぜってぇ美味い!」
「ガラスープでアタリにケチャとソース」
「醤油は忍び」

「クズで寄せてデザートにしましょう!」

「何でも言えばいいってもんじゃないだろ(笑)」

「ここはやっぱりだし巻きだろうね」
「問題はどうやって内部を半熟にして巻くか」

「"ひさご"に形どればそれなり」
「だけどそれじゃ中が固まるね」



「よし。それでやってみろ」
「おいらは食いたくないけど(笑)」
「帰ってくるまでの宿題ね」
「美味そうじゃなきゃクビ(爆)」


まぁ、巻くとどうしても締め固まりますので、普通に作れば出来ません。鍋ごとオーブンに突っ込むなど色々と試行錯誤するはずですけども、バカではないようですから(怪しい 笑)、そのうちパルメザンだけがチーズではないことに気づくでしょう。

溶けるチーズに思い至れば、巻き締めても中身が半熟という状態にできることを思い出すかどうかです。

どのような「まかないナポリタン」を完成させるのか、帰ってきてからの楽しみができました(^_^

2013年05月21日

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