外食業は手鍋の時代  

外食業は手鍋の時代

また一人、知人が店を閉める事になりました。
5月の連休を待たずに今月で閉店すると言います。

幸いにして手に職がありますし、伝手もありますので路頭に迷う事はまず無いのがせめてもの救いですが、その心中の苦悩は察するに余りますねぇ。

日本フードサービス協会統計によれば09年2月、外食産業全店売上高は対前年同月比で2%減。店舗数は0.2%減。利用客数にいたっては3.2%も減っているとのこと。ファミリーレストラン6.0%減。ディナーレストラン10.8%減。パブレストラン・居酒屋6.2%減。喫茶4.4%減。

数字だけ見ればたいした事はない様に思えるかも知れませんが、実際は協会の統計には出ていない店が多い。主に大型チェーンの数字だと考えていいでしょう。

異業種から外食に参入した企業は、外食業で利益を出すまでの難しさに根を上げて、切り離して売却したがっている様子ですけども、今はどこも金が無い。甘かったようですな。

ところが外食全体が全滅というわけではなく、ファーストフードは同じ今年2月の時点で前年同月比2.5%売上高をアップさせています。目立つのはバーガーチェーンです。

日本マクドナルドなどは今年3月に月間全店売上高が創業以来の最高を記録している。これはやはり不況のせいで安い商品に流れた結果でしょうか?

どうもそう単純な話ではなさそうです。
マクドナルドは半額キャンペーンなどの価格戦略でコケたこともありますので。

付加価値戦略が的をえたんでしょうね。
安さ+クオリティって事で、それはつまり「お客さんの目線」をどうにか取り戻すのに成功したんでしょうかね。02年頃に低価格路線で赤字になった時は、あきらかに「企業目線」しかなかったですからね。あのままでは危険だった。全社あげて取り組んだ末に復活した結果なのでしょう。※

とはえいえロードサイド(郊外)外食店の荒廃ぶりは半端なものではないようです。もはや「価格」うんぬんのレベルではない。

特に「なんでも揃ってます」型の店は気の毒ですが、時代から離れてしまって完全に浮き上がっているか、そうなりつつある。

海外に目を向けると各国の日本食ブームは相変わらずの様子ですけども、飛びぬけて突出してるのが「香港」。中国への玄関ですな。ここで繁盛しているが日系の外食でして、中でも回転寿司とラーメン店が凄い。

ファミレスではなく寿司とラーメン。 この意味は大きいでしょう。

もはやどこの国民も味覚に時代差や地域差が無くなりつつある現代、傾向にも地域差が消えてきます。

だから逆に「なんでもあります」は通用しなくなって行くのです。

香港から日本の味目当て観光客が激増しておりますが、日本の外食従事者は、反対にその香港人達に教えられる事が必ずあるはずです。突破口の見えない幹部さん達はインタビューして回るべきでしょうな。

鼻輪をつけられて引っ張り回されるのはもう嫌なんですよ。
自分の好みをしぼって選ぶ。だから押し付けは煩わしいし五月蝿い。

大鍋にたっぷり用意して待つのではなく、お客の顔を見てから手鍋で作る。お客はそんな〈一品〉を目当に店を訪れる。

考えてみれば当たり前のことで、やっとこさその当たり前に戻ってきた。
そんな時代が到来しているのでしょう。


2009年04月23日

※追記:2015年現在、マクドナルドは苦境に立っています。中国産原料の不備が発覚して以降迷走状態が続き出口が見えない状態。
苦境が長引いているのは、「この期に及んでも客を見ていないからだろう」と思います。

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