板前と事業、両立の鍵  

板前と事業、両立の鍵

関わっているヨーロッパの店が予想よりも早く収益を出し始め、近頃のユーロ高もあって現地スタッフが「支店を出店するのはどうでしょう」みたいな事を言い出したので、現地に行って来ました。

「料理屋は分散するより地力をつけろ」
そういう考え方ですので、時期尚早であると言い聞かせ、相手もあっさり「その通りだと思います」と納得。

どうも「銀行関係者」につき纏われて困っていたらしい。「儲かりまっせ」というヤツでしょう。何が儲かりまっせなんだか。ハイエナですな。

現地法人を組織し、ユーロ圏外に店を造るチャンスだという訳でしょうが、ついこの間まで「ユーロ危機」だとかで下落しまくっていたユーロが、「アメリカの緩和終了の気配」とか「債務の危機」だとかで、今度は高騰。

「新興国から引き揚げられたマネーの向かう先は欧州でしょう」という投資家のメンタル。アメリカの金利がトントン上昇すれば抑制されるが、金利上昇が鈍いと資金を米国に寝かすより安定してきたユーロに流すというわけです。

そんなわけで、高いユーロで第三国に投資するチャンスだと。
そんな「明日をも知れない」「いい加減な為替」なんぞを信じられますかっての。

資金還流で上昇する筈のドルが、「政府閉鎖」「債務上限問題」でオタオタ。伸び切れない。

うちのマル子に言わせると「アレはキチガイのティーパーティーと共和党の茶会派がオバマケア憎しでやっているように見え、そのオバマはもし譲歩して共和党案を受け入れてしまうと今後の政権運営は妥協の連続になり事実上レームダックなってしまう、どころか政治生命をかけたオバマケアを覆される可能性もあり、それはオバマ政権8年を全否定されるに等しい。なので妥協できない。と、そんな風に見せながら、実は演出である疑いが濃厚。そうであれば一時的に景気が冷えたら喜ぶ層が黒幕です。通貨や株価は上昇ばかりしていたら儲かりませんので。。。」

ま、黒幕は兎も角として、今のグローバル経済とやらは異常をきたしており「ハゲタカとハイエナが主役」である事は確かでしょうね。

そもそもユーロ危機だって完全に解決しているわけじゃありません。ドイツ以外は「あぶく銭依存症」がそのままの状態ですし。


 


用件があっさり片付いたので、フランスとイタリアに寄ってみました。
地方都市です。いつものことですが、美しいですな。自然の風景は日本のが絶品ですが、街並みの調和は日本と比較になりません。建物が背景の自然に溶け込むように造られているからです。大小のマッチ箱がデコボコに並んだような違和感がありません。

面白いワインを見つけ、「百本ほど送ってくれませんか」と頼んだところ「いいよ」と交渉成立。晩秋が楽しみです。と言っても、もちろんですがボジョレーナントカとは無関係です。なんでアンナモンが流行るんでしょうかねぇ。全国的に騒ぐほどのシロモノじゃないと思うんですが。


冒頭の話に戻りますとね、料理人とはいえ雇われで終えたくなければ商売のセンスも必要です。必要ですが、「実業家」気分にまでなるのは違うと思います。仮に生まれつき事業の才能があるのならば、料理人を辞めて経営に専念した方が良いですね。

ですがそんな才能があれば料理人にはなっていない筈です。料理人は下積み修行がキツイ。それに耐えられるのは「この道しかない」という信念と、「この仕事が好き」という気持ちがあればこそです。

稀に職人あがりの大手飲食経営者もおりますが、殆どの大手経営者は料理素人からスタートしています。料理には疎くても事業の才能があったということでしょう。

つまり、「人は一芸」
一つの分野を進んだ方が良い。

特に料理などの「個人技」を生業とするなら「二足の草鞋」というのは良い結果を招かない。個人技ですから、できるだけ小さな店からスタートするのがベスト。「技」を売りたいならそうすべきでしょう。

その後どうするか。
「深化していく」、つまり深くなって行けばいいのです。

この時に迷いが生じるケースの大半が「商売っ気」なんですね。「大きくしよう」という欲です。しかしこれが成功する料理人は1割にも満たないでしょう。「自分の職業は職人ではなく実業家であるとマインドチェンジ」できる人が成功する筈です。

まだまだ深化が足りない段階で手を広げようと思ってしまうわけですが、これはほぼ「拡散」になってしまいます。簡単に言えば深めたモノが薄れるということです。

ではどうすればよいのか。
「さらに深めて、ある到達点まで行く」

到達してしまうと、「商売が向こうの方からやって来る」ようになり、職人でありながら実業家になれてしまうのです。

まぁこれもケースバイケースなんですが、「素早い行動」と「拙速」の違いを説明するような感じで、今回の相手は理解をしてくれたようです。というか、元々彼には「説明」とか「説得」など不要だったんですけどね。そういう職人だからこそ選んだ訳ですし。


これを書いてましたら、何故か雪化粧し始める頃の「槍ヶ岳」を無性に拝観したくなりました。どうしてなんでしょうかねぇ。


2013年10月15日

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