安い包丁の背  

安い包丁の背

 

むかし、一度店を潰しそうになった事があります。
世の中にはよくある話ですが、友人の保証人になったのが原因です。

請求された金額は◯億ほど。
自分の店は、やっと安定した利益が出せるようになったばかりの時期で、これからというところ。
その金額をスパっと払えるほどの体力はまだありませんでした。

冷静に対処方法を検討した結果、打つ手が非常に少ないことが判明。無傷で切り抜ける方法は無いという判断をしましした。

まぁ「追い詰められた」と言ってもいいでしょう。
この時、もしもおいらが「弱気」になっていれば店は無くなっていたと思います。

板前の修行時代ね、いやそれ以前からかも知れませんが、おいらが学んだことは、「あきらめない」ということです。

根本的な戦略は「決して投げ出さない」
その戦略を曲げぬ為なら「戦術を臨機応変に変えてよい」

そんな感じですかね。

人生や仕事なんて自分の思い描く理想通りになるもんじゃありません。
大成功なさった方にはそういう人もいるかも知れませんが、そんな稀有な例が誰にでも当てはまるもんじゃありません。

「ツキの連発」だから「例外」と云われるのであって、普通の人は努力や能力が必ずしも成功に結びつくものではないのです。

我々みたいな一般人はね、生きていると必ずといっていいくらい大きな壁にぶち当たってしまうもんです。 自分で招いたにしろ、不可抗力にしろね。

そのときにどう対処するか。
それが人生を決めてしまうターニングポイントだと思います。

その危機を解決するために、「自分の決まり」を大きく変えなきゃいけない場合もあります。

「対応して適切に処理」する。
そのために自分の何かを変えなきゃいけない。
そうすることが、生きていく為の「戦術」です。

戦術を転換することは対処であって後退ではない。
しかし、戦術を誤ると撤退に追い込まれます。

戦術は臨機応変に変えてよい。
元々そういうものだからです。

では「戦術を誤らないためにはどうすべきか

それは「戦術の前提条件としての戦略があるか」でしょうね。

【自分の根本理念を変えないために戦術がある】

つまり「二重構造」なわけですね。
ここを押さえていないと「ブレる」「ブレない」の意味を理解できなくなる可能性があります。

「折れた」のか「本当は折れてないのか」
結局はそれが一番肝心なのだと思うのですよ。

これが最も「分りにくい」のですな。

自分のことであれば自分が一番良く知っている。
だが、人様を測る物差しとしては非常に見えにくい。

見えにくいが、これが非常に大切なんですね。
他人を評価する基準として、実はこれが何よりも大事なんです。
なぜかと言いますと、「折れた人」「戦略を持ってない人」というのは非常に危険だからです。

自分は基本的に「戦術だけで生きてる人」を信用しません。それはある意味で「本能だけで生きてる獣」と同じことだからです。

人の戦略、つまりその人間の「芯」というのが何かを説明するのは非常に難しいです。

たとえば板前が使う包丁がありますね。
ピンからキリまで様々な和包丁があります。

いまどきは自分の包丁も持たず、店置きの牛刀などを使って仕事をする板前もいるようですが、自分が料理人の端くれだという自覚をもっている人は自分の包丁を所持しています。

非常に高価で立派な包丁を使う板前もいます。


堺孝行 銀巻

かと思えば2~3千円程度の包丁で仕事をする板もいる。
この違いでその板前の芯とか戦略まで分かるか?

分かりません。

包丁の高い安いでその人間の値打ちまで判断できるわけがない。

フェラーリを転がしているからといって、外から見ただけじゃその人が努力して成功した人間か、金持ちの脳ナシどら息子かを判断することはできない。

愛車が軽自動車だからといって、その人が「小さな人間」であると決めつけられるわけがない。

「わけがない」とはいうものの、今の世はそういうガワだけの判断で人間を「決めつける」人ばかりではありますけどね。

分からぬけども、推測はできます。
その人が安い包丁で「何をするつもりなのか」が分かれば、その人が戦略を持って生きているのかどうか見えてくるんですよ。

安物の包丁の裏側

こういうところに「折れない心」「ブレない芯」、つまり戦略が宿っていたりするのだろうなぁ。そう感じるんですよ。

実は子供だましのような安いハガネの包丁の背中こそ、「折れにくい」のではないか、そんなことを思う時もあります。もちろん、サビだらけでデコボコ研ぎの包丁は別ですけどね。







さて、妙なブログを別に作って政治関係の記事などを分離し、そのせいでマル子氏や鯔次郎氏とかに大変な迷惑を掛けたわけですけもど、これは戦術の転換というよりも「疲れの蓄積」なのであろうと自己分析しています。

リアルの職人兼商売人として少しだけ本音を言いますと、国民が選んだのだから黙って安倍さんに3年は任せてみましょうというのが本当だと思いますし、ドル円が95円あたりで落ち着いて景気も安定してくれれば良いなぁと。

ですがまぁ、
ここは素直に鯔ちゃん・マルちゃんの忠告を受け入れて、新しいEssayBlogはヤメにします。

その後始末を終えた時点で、しばらくの間ブログをお休みさせて頂きます。お休みが1周間か、1ヶ月か、あるいは半年に及ぶかは、今のところ分かりません。

この場を借りまして、スズメ貝さん、春告魚さんにお礼を申し上げると同時に、沢山の読者の方々に深く感謝を致します。ありがとうございました。またいずれお目にかかりましょう。

2013年06月12日

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