食物繊維が大切な理由  

食物繊維が大切な理由

食物繊維という言葉が一般に知られるようになってから30年というところでしょうかね。ところが、「やはり」と言うかその意味するところは正確に広まっていないようです。

先日久しぶりに馴染みの小料理屋に顔をだしました。
幼馴染などが集うこの店には、毎日でも行きたいのですが、引退の身でもなきゃそれは無理なことでして、なかなかね。

 

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「おひさしぶり、元気でやってた?女将」
「お、ハゲもいるね。お前はこの店のヌシかよ」

ハゲ
「ハゲ言うな!」
「なんだよ、ツラも見せねぇでさ」


「ごめんごめん。色々やる事が多くてね」
「あ、女将。任せるから適当にみつくろっておくれ」

ハゲ
「あのさ、魚ちゃん」
「行って来たよ俺」
「スカイツリーに登ってきた」
「いや~凄いね、あれは」


「?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

ハゲ
「お~~~~~~い」
「またそれかよっ!」
「応答しろ!!」
「ツリー知らねえわけねぇし」
「何か反応してくれたっていいじゃないか」
「シカトはねぇだろ~」


「はいはい。ごめんなさい」
「アレって電波村と東武だよね」
「電車屋さんはゼニがあるねぇ。豪気なこった」

ハゲ
「あ・の・ね」
「東京の新名所だよ」
「そんなひねくれた言い方はねぇだろ」
「郷土愛ってものが無いの?魚ちゃんは」


「アンタ地方の人だったっけ?」
「そういえば、電車屋だったねぇ (笑)」
「で、何?何時間も行列して登ったの?」
「はい。ご苦労様」

ハゲ
「あ~もう!」
「馬鹿にしてるだろ、絶対」


「まあまあ、そう興奮せずに (笑)」
「郷土愛と言うけどさ、地の人間にゃ迷惑なだけだよ」
「宇宙時代に電波塔なんぞ、ズレてるね、感覚が」
「テレビは20世紀の遺物」
「この話は終了」

「ところで健康食は実践してんの?」
「少し腹がへっこんだ気がすんだけど}

ハゲ
「できるだけ魚ちゃんに言われた通りにしてるよ」
「かなり改善してる!」
「でもさぁ。BMIがイマイチ標準に届かないんだよな」


「便の色はどうだ?」
「黄色系か黒系か」

ハゲ
「マジマジ見ないから分かんないけど、少し黒い」


「水に浮いてる?沈む?」

ハゲ
「たぶん沈んでる」

魚 「食物繊維不足だな。そりゃ」
「食物繊維が足りなきゃいくら頑張ってもBMIが適正にならん」

ハゲ
「え~」
「食物繊維ってゴボーとかバナナとかサトウキビとかだろ?」
「毎日食えないよ。あんなスジスジ」


「あ・の・ね」

食物繊維とは

世の動向を把握しておくのは料理人としての仕事の一部だと考えています。同業の食べ物屋を回るのは当然ですが、定期的にスーパーに行って全部の棚を周り、何が売れてどんなものが売れてないのかをチェックしたりもします。

「幻を創造しようとするテレビ」を観ませんので、足で現実を歩くしかないわけでして、ま、こちらの方が正確だと信じております。

世の中の方は、「テレビを観ないとズレる」とおっしゃいますがね、それは正反対だと思うんですよ。テレビが発信する情報やブームの方がズレてます(←頑固ヘンクツ 笑)

スーパーは都会型の小規模凝縮店と、車で行く郊外型のやや大きな中型の生鮮メインの店で、この2店舗にはもう随分長い期間通っています。両方共お客が多くて繁盛を続けている優良店。

さて、売り場に陳列される品物。基本的な配置は何十年経っても変わらないんですが、近年の大きな変化は「健康食品の台頭」ですね。

気がつけばワンコーナー全部が健康食品だらけになっている。
このコーナーもやはりどのような商品が売れているかチェックします。

正直な感想を一言で表現しますと
「本物はほとんど無い」

欧米の健康食品売り場を知っておりますので、本当の意味での健康食品なるものが日本の売り場ではゼロに近いのが目につくのですよ。(専門の自然食品の店は別だが、専門店自体があまりに少ない)

では並んでいるのは何か?

大手の食品飲料企業が売りだしている「健康ドリンク」がメインです。缶コーヒーとか茶やミネラルウォーターなどを売って儲けた企業群ですな。

「右手に毒、左手に薬」ってな感じで最初の頃はあきれて信用してませんでしたが(今でも基本的に同じ)、最近は努力を認めてもよい商品を出すようになってます。

「これは良い」と思える品が並ぶようになった。

なかでも気に入って「これは買っても良い」と思ったドリンクがあり、それは食物繊維入りの野菜ジュース。水溶性と不溶性をミックスさせαーリボ酸も加えた本格的な商品。

ところがね、これが「売れてない」
行くたびにその飲み物のスペースが小さくなり、最後は姿を消してしまった。現在そのスペースは大手が売り出す濃縮還元の野菜ジュースが独占。

その裏側にあるパンのコーナーでも相変わらず白パンがメイン。
かろうじて小さなスペースに置いてある「全粒粉パン」は売れていない。

これはスーパー・流通業界・メーカーのシステムにも問題があるのですが、やはり店の姿勢という事であり、その店は「売れ筋」をメインにするので繁盛しているのですから、要は「お客の動向を反映している」ということです。

つまり、
多くの消費者は「食物繊維の重要さ」をいまだに理解していない。
そう考えてもよいと言えるのではないか。

「玄米食が良い」のは知っている。
だが、何故良いのかを正確に知っていない。
知っていれば「ふすま」が残っていない白パンを食べるわけがないからです。

食物繊維の重要性

現代食の問題点は「砂糖」と「動物性脂肪」に集約されます。
※下段の追記をご覧下さい

この二つの過剰によってどのくらいの人間が病で倒れているか想像もつきませんけども、「タバコで死ぬ人」の数など問題にならない多さなのは確実。

しかも動物性脂肪をさらに「高温のアブラで揚げる」料理が不動の人気。つまり、「過酸化脂質」を毎日食べていると言えましょう。
これにカロリーだけで栄養がない砂糖で味をつける次第。

フリーラジカルの中でも「タチの悪い強盗」のような”酸素ラジカル”が不飽和脂肪酸を過酸化脂質に変質させるだけではなく、わざわざ進んで「腐ったアブラ」を食べているわけで、これでは細胞が「突然変異」するリスクを高めて当然。

ニュースによれば国民医療費が37兆円を突破したそうです。
もとろん高齢化が進んだのが大きな原因でしょうが(65歳以上が20兆7176億円で全体の55.4%。1人当たり70万2700円)、傷病別にみると高血圧症や心筋梗塞といった循環器系の疾患がトップであり、ガンや呼吸器系疾患が後に続きます。

じりじりと歳入に迫る勢いの莫大な金額。どう考えても「異常」な数値であり、医療制度崩壊へまっしぐらですな。しかしね、「現代食の異常さ」をみればある意味で当然の数値なのですよ。


話が難しくなりそうなので、単純化します。
ようは、「普通の食生活」をしているだけで、【毒】が体内に蓄積するのですよ。「普通」こそが普通ではないからです。

この毒を体の外に追い出さないといけません。
そのまま体に蓄積させると死にますので。

体内にある「不要な物質」は、つつがなく排泄されなきゃいけません。
汗とか垢などもそうですが、やはり尿と便が主役。分解された、または分解不可能な毒は、尿と便によって外に出されるからです。

難溶性(不溶性)の食物繊維である小麦のふすま(つまり全粒粉パン等)や、玄米や大豆製品や野菜をたくさん食べますと、便のカサが増えます。特にふすまは強力で、二倍三倍に増えるのですよ。

これによって大腸の蠕動運動でも排泄できない水分のない不健康な便が腸内にたまる事がなくなり、健康的な便通をもたらします。

排泄されない食べカスが腸内にたまる「害」は容易に想像できましょう。これらは再び腸壁から吸収され、血流によって全身に回ってしまうからです。食べカスのほとんどは不要物か「毒素」なのです。

おそらく多くの方が、こんな食事内容
これでは180%。
あなたは「80%分の毒」を解毒してますか?


食物繊維はNSPとも言います。
(70年代に人気だったフォークバンドではありません←古 笑)

1960年代まではたんなる「食べカス」として不要のものとされ、ハゲが言っているように「スジスジ」の消化されない役にたたないものというのが栄養学の一般的見解でした。

20世紀初頭に『自家中毒』という本を書いた医師が、食物繊維の有効性と本質を鋭く突いた意見を発表していたのですが、これはあまりにも「早すぎた」ようで、まったく相手にされないまま、科学の発展を50年ほど待つことになったわけです。栄養素ではない食物繊維はまったく注目されなかった。

ところが60年代後半から70年代にかけて、世界中の学者が研究を進め、大腸ガンなどの腸内疾患と食物繊維の因果関係が明らかにされます。

その研究の過程で「植物の細胞壁の成分で食べにくいスジがメインの消化できない物質」という古典的な食物繊維の他に、大腸で消化吸収される、食べやすい硬くないある種の食品群も食物繊維であることが分かりました。

難溶性の食物繊維

古典的な食物繊維を【不溶性食物繊維】と呼びます。
(insoluble dietary fiber 略して「IDF」)

主なものは「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」
ヘミセルロースの一部は水に溶けますが、あとは不溶性。
大豆などの豆類、精製度の低い穀物(全粒穀物)、野菜や果物の細胞壁を形成する部分がこの不溶性食物繊維です。

動物性もありまして、カニの甲羅やエビの殻に含まれる「キチン」も不溶性食物繊維です。(ただしキトサンは水溶性)

水に溶けず、それ自体は消化されませんので、体内で水分を吸収し膨張して何倍にも膨らみ、それによって胃をふくらませ食欲を抑え、腸に至っては水気とカサのある便となり、大腸の蠕動を誘発し便通を促します。発がん性物質(ダイオキシン類)などを吸着し体内から排出してくれることも分かっています。

水に溶け、柔らかく口当たりの良い食物繊維

昔少し流行った「飲む食物繊維」はこれあらばこそ。殆ど目には見えず食感に抵抗がないのでそれと意識せずに摂ることが可能だからです。
この【水溶性食物繊維】は soluble dietary fiber 略して「SDF」

海藻、海草の細胞壁に含まれる「アルギン酸ナトリウム」「カラギーナン」「寒天(アガロース)」
コンニャクの主成分である「グルコマンナン」
キク科植物(つまりゴボウなど)の根茎に含まれる「イヌリン」
果物の細胞の内側に多い「ペクチン」
※細胞壁のペクチン質は不溶性だが成熟につれ水溶性に変化していく。これが野菜や果物が熟して柔らかくなるメカニズムのひとつ。

他にも「粘質物」など水溶性食物繊維は結構多く、化学合成された人工食物繊維もあり、添加物として使用されています。(これによりコスト命の大企業が「食物繊維入り飲料」を販売できるのだと想像します)

食物繊維の効能

食物繊維が健康に寄与することは80年代には完全に証明されており、あの(硬直化した)日本のお役所さえも特定保健用食品(トクホ)として認めています。厚生省(当時)は「日本人の栄養所要量」にて摂取目標量を設定しています。

☆便通を良くする

食べ物サイトで便の話はアレなんですが、健康な排泄は病気を寄せ付けない体のバロメーター。体内の健康状態を病院に行かずに知る方法は少なく、便の状態はそれを素人にも教えてくれる貴重なサインなのです。

下痢は当然として便秘も良くありません。これは常識。
しかし多くの方は便器の中の便をチェックしないもの。
コロコロした丸いウサギやネズミのような水分のない便とか、どす黒い色をしていて、水に浮かないのは不健全と考えてよく、黄土色で水に浮く大きな便は健康の証。

ごく単純に言えば、肉や脂肪やふにゃふにゃの加工食品ばかりを食べると浮かない黒い便になり、野菜や穀物をたくさん食べると黄土色でハニカム構造の水に浮かぶ健康便になるのです。(胆汁の成分であるビリルビンが色の元ですが)

便に関係するからか、腸の大切さを考えない人が多いのですがね、小腸を含めた腸というのは脳に匹敵するほど大事な器官なのですよ。便通が不健全だと体に悪い影響を与えるは当然なのです。

腸内環境を整える食物としてビフィズス菌などが知られますけども、物理的に排便を助ける食物繊維の効果は絶大なのですよ。

穀物や豆などの不溶性にこの効果がありますが、水溶性も腸内で一部発酵して大腸のぜん動運動を助けます。つまりビフィズス菌に準じる働きをするのです。

そして

☆多量の唾液と混ざり消化効率を上げる
☆胃で膨張しカロリーを制限する
☆血糖をコントロールし糖尿病を予防、改善
☆コレステロールの上昇を防ぐ
☆血圧を正常化。心臓病など循環器疾患にも効果が認められる
☆腸内の悪い細菌をおさえ、良い細菌を増やす

悪いウエルシュ菌等を抑え込むことで免疫強化、腸内腐敗防止、腸内感染の防御、腸管運動を助ける、などの効果を発揮します。

若い女性を対象にした調査によれば、食物繊維がBMIを正常値に近づけるということが明らかになっており、ようするに【肥満防止】になるという事です。

これは証明されているわけではありませんが、GPI(十二指腸から分泌される消化管ペプチドの事で、ヒトを肥満にする物質のひとつとされる)を何らかのシステムで抑圧してくれるのも食物繊維だと考える学者もいます。

食物繊維が含まれる食べ物

野菜や果物にあまねく含まれますが、その量は微小。

食べやすい水溶性のグルコマンナン(こんにゃく)やアガロース(寒天)などを用いたダイエットがあるそうですが、その効果は含有量の問題で疑問ですね。そんなモンより昆布のアルギン酸で良いと思います。

それ以前に、やはり不溶性食物繊維を摂らないとダイエットもクソもないという感想です。仮に痩せたとしても吹き出物だらけの肌や冷え性では意味がありませんのでね。

注目すべき食品は大豆製品とゴマ。
とくに大豆を皮ごと製粉した「きな粉」には非常に多いです。

しかしそのきな粉の倍以上の食物繊維を含む食品もあります。
それが小麦粉の「ふすま」でして、ダントツの多さ。

このふすま(ブラン)と胚芽を残したまま荒挽きにした小麦粉(全粒粉)で作ったパンが【ホール・ウィート・ブレッド】(小麦全体のパン)であり、ザラザラして濃い茶色をしており、真っ白いパンの間で売れ残っている人気がないパンなのですよ。

肥満を始め、糖尿病・心臓病・大腸がん等の腸内疾患・胆石、その他様々な生活習慣病を予防しリスクを軽減させる食品。

それを誰も見向きもせずに、栄養的にはゴミに近いが見かけが白くて「美味しそうな」精製されすぎた粉から作る「美白」の白いパンを買うのです。

ま、若さによる高代謝により肥満をまぬがれているお姉ちゃん達も、時間の問題だということですな。

誰もが栄養価値の無い「美白」の白パンを買う怪奇現象。
「見た目だけ」でモノの値打ちを判断するということでしょうか。
超優良食品でありながら、なぜか売れないホール・ウィート・ブレッド

豆や小麦ふすま・胚芽には大切な必須ミネラルであるマグネシウムも豊富であり、この栄養素も不足しがちで、不足すればあらゆる悪い現象の原因となり、特にカルシウムの吸収が悪くなる点が重要。骨密度をダメにし、腰痛や骨粗鬆症の遠因となりますからね。

ふすまと同程度の食物繊維を摂取可能なサラダ。黒豆(大豆)を中心に、抗酸化ビタミン・必須ミネラル豊富な繊維質の野菜を。

ドレッシングはレモンの搾り汁とオイルのみでよい。油はフラックスシードオイル(α-リノレン酸が豊富な油亜麻仁油やシソ油やオリーブ油など)を使うことでオメガバランスをとる。自分は物足りないので麹を返したもので一味加えています。

各種食物繊維の説明

食は流行り廃りではなく、日常の継続

とにかく現代人が食べる総脂肪量は多すぎ。
これではいくら抗酸化栄養素を摂っても無意味に近い。
食物繊維をメインに抗酸化物質を併用しなきゃとてもじゃないが生活習慣病は減りません。

本当の意味での健康食品が入手しにくいのであれば、家庭における食事の絶対量を減らすのがベストだと思います。それしか対抗手段は無いのではないでしょうか。

何をどう考えても、運動量に対するカロリーがあまりに多すぎます。

「どんなものでもある」現代の食事情を思えば、1日1食で充分。
それで健康が維持できるほどの食品やサプリが氾濫しているからです。

なぜ家庭食かといえば、外食で「それ」を期待するのは無駄だからです。
プロが作る料理は代金を頂戴する性質上「安っぽい材料」をメインすることができません。つまり大豆やオートや海藻を主役にした料理ではお金が頂けないという事情があります。
工夫して出すにしても「調理テクニック」を使わないわけにはいきませんので、どうしても「加工しすぎ」になり、肝心な栄養素を失います。

それにね、健康食というのは「1回や2回食べても意味が無い」のですよ。
続けてこそ効果が出るのであり、どのような場合でも3ヶ月は続けぬと何の意味も無いのです。そしてさらに半年、一年と続けなきゃいけません。それが出来るのは家庭における食事だけです。

【外食は娯楽の一種であり、食事ではない】
そう考えるほうが健全なのではないでしょうか。

娯楽は「非日常」
つまり「たまにしかない」ということ。

そういう姿勢であれば、スイーツでさえも何ら問題なし。
焼肉やステーキも楽しい。
おいらはそう思います。

ところが、ファストフードや牛丼が日常となっているのが現実らしい。
それが「異常なまでに膨大な医療費」として表れている。
そう確信しています。

健康というのはね、何にも代えられないほど貴重なものなのです。
それは自分が病になってからでないと実感できないもの。
しかし実感できた時はもう手遅れ。

健康を維持してくれる物質はわずか50種類ほどの栄養素。
この栄養素はあなた方が考える「栄養がある」「普通の食事」にはほとんど含まれていません。そこにあるのは切れ切れの栄養残骸か、毒だけ。

本当の完全なる栄養は、イモとか精白されていない玄米とか雑穀、青臭く渋い野菜、見向きもされないイワシなどの雑魚、海の岩場や沖にある海藻・海草、そして大豆やぬか漬け、地鶏が産む卵。こうした安っぽい食材が「できるだけ加工されていない状態」の食品の中にあるのです。

それはつまり、「90歳とか100歳の長寿で今も健康」な方々が、「子供の頃から食べ続けてきた」食べ物なのです。




※【追記】 体に悪いのは動物性脂肪だけではない

栄養素の中で、「そのまま体内に影響を与えるもの」が”脂肪”です。つまり摂取した油脂はその種類に応じて人間の体質を変化させてしまうのです。

脂肪はヒトに不可欠の栄養素であり、どうしても必要な物質。
しかしそれは「バランスがとれている場合にかぎって」です。

我々は豊かになるのと比例して爆発的に脂肪を食べるようになりました。その結果が何をもたらしているかは、分かる人にはすぐ理解可能でしょう。分からぬ方は、脂肪摂取率が高い先進国に多い、肥満と膨れ上がる医療費を思い浮かべてください。

脂肪は大雑把に下の3種に分類できます。

脂質は水素と酸素と炭素からなり、炭素の連鎖構造の変化で脂肪酸の種類が分かれ、その脂肪酸は数百種類にもなる。炭素原子のつながり方でタイプが分かれる訳で、代表的なグループが以下のようになる。

① 動物性脂肪=飽和脂肪酸・単価不飽和脂肪酸

② 植物性脂肪=多価不飽和脂肪酸(オメガ6)
(リノール酸→GLA→DGLA→アラキドン酸)

③ 魚介類の脂肪=多価不飽和脂肪酸(オメガ3)
(α-リノレン酸→SDA→DSDA→エイコサペンタエン酸)

③の最後にあるエイコサペンタエン酸(EPA)が最も良い脂肪酸で、上に行くほど悪い脂肪酸になります。

常温で固体である場合が多い「動物の脂」である①を摂取しすぎると良くないのは比較的簡単に理解できると思います。

なので、
動物性脂肪=悪い
植物性脂肪=良い
と考えられた時期もあり、その時に「特に良い」とされたのが【リノール酸】です。

ところがこのリノール酸は体内でアラキドン酸に変化するケースが多い。現在はこれが「血流を悪くしている」と分かってきました。

結局のところ、①も②も良くないことが分かったのです。
②のオメガ6はある程度不可欠の脂肪酸ですが、①は無用の長物と言ってもよく「百害あって一利なし」です。

最悪なのが動物性脂肪をリノール酸で加熱する料理。
これによって①と②を両方摂取することになり、【脂肪総量】を必ず増やして脂肪の摂り過ぎを簡単に招いてしまうからです。

人間にとって①は不要。
②のω6と③のω3をバランスよく摂取するのがベストなのです。

植物油にはリノール酸を多く含むタイプとそうでないタイプがあり、多く含む「コーン油」「紅花油」や、リノール酸ではなくオレイン酸が主体になるオリーブ油やゴマ油など様々です。

リノール酸をほとんど含まぬ植物油
オレイン酸主体=オリーブ油・ゴマ油
α-リノレン酸主体=シソ油・アマニ油

特にα-リノレン酸主体の油はω3に含まれ、非常に良い。

厚生労働省が推奨するω6とω3の比率は 4:1
つまりリノール酸系を4摂れば、α-リノレン酸を1摂って下さいということ。

ところが肉を油で炒める・揚げるなどの料理が主体ですと、簡単にこの比率は「10:1」を超えてしまいます。

現代人のほとんどが【アラキドン酸過剰】になっている所以ですね。
だからこそ最良の脂肪酸であるEPAを意識して摂る必要があるのです。

①~③
先頭が【悪性脂肪】で最後尾が【良性脂肪】
そう考えて間違いないと、現在は多くの科学者が確信しています。
医師の間でも、すでにこれは常識なのですよ。

EPAは、イワシ、ニシン、サバ、サケ、マグロ、肝油などの魚介に含まれ、あらゆる研究で健康な体と健康な頭脳、そして老化と病気を防止する「魔法のアブラ」であることが分かっています。

どうしても不健全な食生活をしてしまう現代人にとって欠かせない栄養素なのですよ。例えば肉料理を食べる前にEPA(つまり魚料理)を食べておくと、肉の動物性脂肪と調理油のアラキドン酸よりも先に体に取り込まれることで前者の害を防いでくれます。

魚が嫌いな人でも、肉料理の直前にEPAのサプリメントをとることで効果があります。

このEPAと併用することで、現代食の「異常な偏り」を正常に引き戻してくれるもの。それが「食物繊維」なのです。
「肉も洋菓子も、好きなものは何でも食べ続ける」のであれば、余計にEPAと食物繊維が必要なのです。「使い切れない不要な物質は速やかに排出」されなければ、体が耐えられる限界を、いずれ突破しますので。


脂肪酸の説明


2012年09月28日

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