【サバ缶騒動】~フードファディズムの根深さ  

【サバ缶騒動】~フードファディズムの根深さ

「さば缶」がこの夏飛ぶように売れたといいます。
なんでも7月末にテレビで紹介されたのがきっかけだとか。

「健康に良い」だか「痩せる」だか、そんな紹介だったようで、放送後は店の棚から消えるほどの勢いで売れたらしい。

いったい何度目なんでしょうかぁ、こういう事。
納豆だ豆腐だ麹だトマトだ・・・
記憶できないくらいあったような気がする。

 

確かに青魚は優れた栄養バランスを持つ優良食材でして、おいらも何度か「良いですよ」と書いております

でもね、いきなりサバをがんがん喰ったからって、痩せるわけがないし、急に健康になったりするわきゃないでしょうが、そんなもん

慌てなくても、なくなりゃしませんよ。
もともと缶詰は保存食品だし。
バナナのたたき売りじゃないっての(笑)

「身体に良いDHA、EPAが入っているし、安いし保存できる」
そんな理由は「いまさら」ってことで、とってつけたようなもの。

それまでは埃をかぶるような存在だったサバ缶が「一番人気」になったのは、どう考えても「また流行りってヤツかよ」ですわな。

いくらなんでも、食べて即痩せるなんてことを信じて買う人はまさかいないでしょうが、「なんとなく乗せられた」ってのは否めないんじゃないか。

もちろん、「サバ缶が良くない」なんて意味でこれを書いている訳じゃありません。

缶詰はやり方によっては添加物なしで長期保存可能な製造ができる良い加工食品だと思いますし、特に魚介類の加工法としては最適です。
(※最近のは添加物だらけですが)

魚を食うのはおすすめですし、使いやすく意外なほど旨い缶詰は、適当に料理に使用すると便利です。

問題にしたいのは、「テレビで紹介されたら店の棚から消えるほど客が殺到する」という現象。

結局のとこ、こういう個々の軽挙妄動と群集心理が日本に詐欺師を増やす結果になっているんです。

「ありえないと思える」振り込め詐欺の被害者の多さ。
あれが成功してしまう理由を考えてみたことがありますか?


「健康によい」
「体に害がある」
この二元論は同一の思考回路によるもの。

【食べ物として販売されているモノに、害があるものは無いし、逆に薬のように健康にいきなり効果を示す食品もありません】

食害という例外はありますが、あれは犯罪。
通常の食べ物は毒でも薬でもなく食品です。

【food faddism/フードファディズム】という言葉が日本で紹介されたのは90年代で、紹介なさった方は食糧・栄養の専門家である農学博士の高橋久仁子先生です。

「食べ物は毒ではないが薬でもない」
なのに盲目的なまでに食に健康効果を求めるのは、「偏執的なまでの健康志向」「論理的な思考と多面的な判断ができない」ケースが多い。

そのような事をお書きになっておられます。
まったくその通りですな。

90年代よりももっと前から「健康ブーム」は続いておりまして、もう「歴史」と言えるほどの年月が経過しております。

沢山の日本人が「体に良い」ものを食べ続けていることになりますな。

でもね、あなたの周囲の人々をよく観察してみてください。
何か変化がありますか?

ブームと縁がなかった爺さんや婆さんに比べて、今の日本人は健康になっていると思いますか?


【ほどほど】【バランス】
そろそろ頭を冷やす頃合いだと思うんですがねぇ。

健康食オタクになっても、急にタバコをやめたりしても、それで不老長寿になれるわけがないし、どうせいつかは老いて死ぬんです。

毎日毎日ファストを食べ、スィーツを食べ始めたら止まらなくなる、それもちょっと考えもんですが(まぁ健康を損なうでしょうコレは)、だからといって頑なに拒否してもみても意味は無いし急に健康になるわけでもありません。

どちらの方面にも偏向せず、ほどほどを心がけ、心に余裕を持って人生を楽しむ、料理を楽しむ。そのほうが「健全」だと思いますよ。

人の社会から「おおらかさ」が消えていくほうが、病んでいるんじゃないでしょうかね。

2013年09月05日

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